e-Residency

エストニアの銀行口座 開設完全ガイド 【e-Residency How-To Guide #3】

エストニアを含めたEUでビジネスを行う場合、銀行口座または国際送金サービスの開設が必要です。2019年1月の法改正によりユーロ圏の金融機関であればエストニア法人のビジネス口座として認められるようになったこともあり、現在は法人登記から銀行口座の開設までの全てのフローをオンラインで完結するケースが増えています。しかし依然として、ユーロ圏での銀行口座開設と聞いて抵抗を感じられるかもしれません。そこで今回は、エストニアで利用できる代表的な金融機関・金融サービスをいくつかご紹介致します。

そもそもなぜ銀行口座が必要なのか?

 

短期的な旅行であれば、空港の両替カウンターで現金を換金する方法や海外でカードから現金を引き出す方法がありますが、ビジネスでのお金のやりとりは往々にして送金がメイン。また、ユーロに対応することがほぼ必須。となるとヨーロッパでお金のやりとりをするならIBAN(EUの口座番号の規格)を持っている必要があります。しかし、当然のことながらIBANはEUの規格なので日本の銀行口座では付与されません。「法人登記をしてもまだこんな課題があるの?どうしよう…」と思う方もいるかと思います。

そんな皆さんへ、どうやったら日本人でもIBAN付き銀行口座を開けるのか!今回はこのポイントを解説していきます。

主要金融機関

e-Residencyを使って法人口座を開設する場合、選択肢は大きく二つに分けられます

  • Holvi, Payoneer, Payseraなどのオンライン送金サービスを利用する場合
  • LHVのような従来型の銀行を利用する場合

オンラインサービスの場合、手軽に口座を開設できる一方、銀行ではないため残高保証がありません。一方、銀行の場合は直接足を運ばなけれならないというように、それぞれに一長一短があります。以下で代表的な金融機関の特色を説明しますので、ご自身の事業形態とすり合わせながら最適な金融機関をお選びください 。

Holvi

Logo designed by Werklig for professional banking tool Holvi

Holviはフィンランド発のIBAN発行サービスです。早くからe-Resident向けのサービスに注力しており、銀行とは異なる独自の本人確認プロセスを実施しているため、エストニアに足を運ぶことなくオンラインで銀行口座の開設を完結させることができます。また、ウェブサイトのUIが非常にわかりやすく、スムーズに口座を開設することが可能です。

IBANコードにのみ対応しているため、日本との送金を行う場合はTransferwisePaypalといった海外送金サービスを別途利用する必要があります。(詳しくは本記事後半にて)

Holviの特徴

  • 50件までの送金が無料 有料プランは月額€9、€18などがある
  • 月額€3でMastercard対応のデビットカードを発行可能
  • インボイス発行機能有
  • オンラインストア機能有
  • SEPA諸国からのEUR通貨でのSEPA支払いのみ対応
    EU域外からの振り込みは別サービスを使用する必要があり、作業が煩雑となる
  • 会計の機能も備えているが、会社の管理、会計管理、およびコンプライアンスの要件を満たす最低限のもの

こんな人にオススメ!

  • エストニアに行くことが難しい方
  • 使いやすさを重視されている方

Holviで開設する

Payoneer

同じく、オンラインで口座開設ができるサービスとしてPayoneerがあります。

日本人におすすめできるポイントとして、日本語のサイト、日本語のサポートサービスがあります。サービス概要、よくある問い合わせが日本語でまとめられているので英語に苦手意識のある方にも安心です。日本円を取り扱っているため、日本法人からの受け取りが可能ですが、海外への送金には対応していません。

Payoneerの特徴

  • 受取に特化したサービス IBANを使った送金は原則できず、残高を引き出すか、プリペイドカードを発行して支払うなど対応をする必要がある
  • 日本円を含む7種類の通貨での取引を行うことができる
  • アカウント開設費、維持手数料、送金手数料0円
  • Payoneerに送金された外貨を、最短1営業日で日本国内銀行の自分の口座に送金、引き出すことができる
  • 日本語でのサポートあり
  • 取引先からの代金引き取りを国内銀行で出金する場合の為替手数料~2%。
  • 他のアカウントへの外貨支払いは、Payoneerアカウントへの入金手数料は0円。プリペイドカード決済手数料は3%
  • Amazonをはじめ、連携できるサービスが多い

 

こんな人にオススメ!

  • 英語に苦手意識のある方
  • 日本法人から送金を頻繁に受ける方
  • 基本的に送金する必要がない方

Payoneerで開設する

 

Paysera

Paysera

PaySeraはリトアニア発の金融サービスです。UIはHolviに比べて劣りますが、口座開設の申請から最短半日程度で結果の通知が届き、スピーディーに口座を開くことができます。口座開設費・維持費もともに無料で、リーズナブルに口座を開設できます。

 

Payseraの特徴

  • 比較的迅速に口座を開設することができる
  • 口座開設費・維持費用が無料
  • 資本金の入金は、日本から国際送金が可能
  • IBANを取得可能
  • UI/UXや会計機能ではHolviに軍配があがる

こんな人にオススメ!

  • 一刻も早く口座を開設したい方
  • 最低限の機能がある口座を無料で開設したい方

Payseraで開設する

LHV

 

LHVはタリンに本社を置く、大手銀行および金融サービス会社です。大手銀行なので審査が厳しく、直接オフィスに足を運ばなければならない上に、資金流入が見込める事業プランをきちんと立てられているかが厳密にチェックされます。また、面接は英語で行われます

審査基準については公開されていませんが、LHVは「明確な事業目標を持ち、特にコンプライアンスと会計へのコミットメントを示すことによって信頼できると見なされている企業を支持する」と述べています。

この点について事業計画書の中で強調して説明することがポイントとなるでしょう。また、現在かなり厳しいアンチマネーロンダリング(AML)ルールにより、エストニアとの強いコネクションを証明できなければ、口座開設は難しい状態です。ビジネスを通じてエストニアとの関係を証明できる場合は、ビジネスプランでそれを強調することが非常に有用でしょう。

審査が厳しい分、支払い補償費などの制度が充実している他、SWIFTコードを取得できるため日本との送受金が簡単にできるといったアドバンテージがあります。

 

LHVの特徴

  • SEPAエリア(ヨーロッパエリア)内での送金手数料は無料
  • 預金/引き出し機能有
  • ビジネスデビットカードとクレジットカード有。(月会費2€)
  • 月間20ユーロのサービス利用料金 口座開設費は200ユーロと高額
  • 安全性の保障されたオンラインバンキング有
  • 日本円を含む15種類の通貨での取引を行うことができる
  • VISAデビットカードを利用可能

こんな人にオススメ!

  • EU圏外との送金を頻繁に行う方
  • 支払い補償などのサービスを利用したい方
  • エストニアに足を運ぶ時間と余裕がある方

LHVで開設する

 

主要金融機関の比較

 

HolviPayoneerPayseraLHV
本拠地フィンランドアメリカリトアニアエストニア
対応通過EUR150種以上EURAUD, CAD, CHF, CZK, DKK, EUR, GBP, HKD, HRK, HUF, JPY, NOK, PLN, RUB, SEK
個人口座なしありなしエストニア非居住者は不可
オンラインでの口座開設不可
申請所要期間2-3日2日以内半日以内10-14日
口座の複数開設不可
国際送金不可不可不可
カードデビット

Mastercard

プリペイド

Mastercard

デビット

VISA

デビット

Mastercard

口座開設費無料無料無料200ユーロ(参照
月額料金0-98ユーロ

プランを確認

無料実質無料*20ユーロ

参考:金融機関比較ページ

* 口座に2年以上ログインしなかった場合、口座維持費2ユーロ/月が発生

 

日本からの送金を受け取るためには?

さて、銀行口座を開設した後、日本のクライアントから売上を受け取るためにはどうすれば良いでしょうか?

日本からの国際送金を売上を受け取るにあたって、受取用銀行口座のIBANコードSWIFTコードが必要になります。

その中でも、銀行とオンライン送金サービスの違いが、このSWIFTコードを持つか否かです。SWIFTコードを持てるのは銀行、つまり今回紹介した中だとLHVのみで、オンライン送金サービスは持っていない規格なのです。

そこでおすすめの決済手段が、PaypalTransferWiseといった国際送金サービスです。以下4つの方法について触れたいと思います。

①LHVなどで銀行口座を開設し、銀行送金してもらう

エストニアに実際に足を運び、LHVで銀行口座を開設することができた方は銀行送金で受け取ることが可能です。ただし、こちらは国際送金手数料がかかる上、着金まで時間を要してしまいます。

また、前述の通りオンライン送金サービスは、国際送金に必要はSWIFTコードというものを持たないので、こちらの対象外になります。

 

②PayPalを利用する

PayPalアカウントを開設することで、クレジットカード決済リンクから支払いを受けることも可能です。もちろん日本のクレジットカードも利用可能なので、クライアントがカードによる経費の支払いを認めている場合は、最も手軽な手段の一つでしょう。ただし、決済金額の5.5%が手数料としてかかってしまう点にご注意ください。

 

③TransferWiseの法人アカウントを作成し、送金してもらう

国際送金サービスのTransferWiseを使えば、確実かつ低コストで国際送金をすることが可能です。ただし、先方に開設作業を依頼する上、開設までに若干手間がかかってしまうのが難点です。頻繁に送金取引がある場合はこちらが便利でしょう。

詳しくは公式サイトをご覧ください。

 

④Stripeを利用する

「stripe logo」の画像検索結果

2019年9月にStripeがエストニアをサポート!e-Residencyの強い味方として現れました。機能としてはPaypalとそこまで大差はありませんが、手数料が2.9%〜とお手頃になっています。

現在はStripeを利用可能な国に在住しているユーザーのみが利用可能なのですが、幸い日本はサポート範囲国ですので、安心してご利用いただけます。

 

ボーダレスなビジネスの実現へ

冒頭でご紹介した通り、ビジネスをするためには口座が必須。どの銀行またはサービスを利用すべきか、今回の記事を参照にしながらじっくりご検討いただければ幸いです。

また、SetGoでは銀行口座開設の支援(有料)も行っています。ご相談がありましたらお気軽にSetGoカスタマーサポートまでお問い合わせください。

次回はエストニアにおけるビジネス制度をご紹介致します。

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e-Residencyと連携したオンライン法人登記プラットフォームを提供していいるGov-Techスタートアップ。EU圏にアクセス可能なエストニア法人の設立・事業運営をサポートすることで、世界中・全ての人々が平等、かつシームレスに行える未来を目指している。エストニアに進出する日本企業に対してコンサルティング事業も展開中。